この記事は、2016/10/22に執筆されたものです。
9/10にカナダに着いてから、もう6週間経ちました。
そして、これまでの間に現地の農家さんを訪ねるチャンスに恵まれました。
今回お邪魔したのは、Michell’s Bros. Farm。
1862年から代々続く、歴史ある農家さん。
わたしが訪れた頃はハロウィン用のかぼちゃを栽培している真っ最中。
日本でこんなに鮮やかな黄色のかぼちゃ畑を見るチャンス、そうそうなさそうです。
異文化をまた一つ、感じることができました。

Michell’s Bros. Farm では現在、ケールやスイスチャードなどの野菜の他、牛乳も生産しています。
「オーガニック製品を生産していますか?」と尋ねたところ、
「農薬の使用量減らすようにしているけれど、
オーガニック製品として認証されるには色々な条件をクリアしないといけなくて、
今からだと正直かなり難しいのが現状なんだ。」という答えが返ってきました。
確かに、ここの農家さんは肥料としてコンポスト(卵の殻やバナナの皮など、食品の廃棄部分)を使っているし、
リンゴの栽培で害となる蛾の対策として、卵が孵化しないメス蛾の飼育を行うなど、
極力化学薬品に頼らない栽培方法を選択していました。
しかし、オーガニック農業として認められるには、土壌などを始めとする
実に様々な条件を揃えて、 Canadian Food Inspection Agency (CFIA) から認証を受けなければなりません。
認定条件の例として、具体的には
「最低3年間、使用禁止資材が使われていない土壌で栽培すること」など、年単位での事前準備が必要です。
「よし、明日から農薬の使用量を0にして(公式的に)オーガニック農家になるぞ!」
というわけにはいかないのですね。
この農家さんを訪れて数週間後に、今度は同じくビクトリアにある、オーガニック農家さんを訪れました。
そこは農薬を全く使用せずに、トマトや玉ねぎ、ケールやハーブを栽培していました。
また、にわとりが自由に動き回れる環境で鶏卵の生産もしていました。
(このような形態で生産された卵は、箱にフリーランジエッグ:Free range egg と表示されて、
普通のスーパーでそうでない卵と一緒に陳列・販売されていました。値段は少しだけこっちの方が高い。)
この農家の、農薬ゼロの栽培方法は工夫のかたまり!
野菜につく虫の対策として、虫を食べてくれるヘビを放していたり(!)、
栽培するハーブの周りにさらに背の高い花を植えることでそこに虫を引き付けて、ハーブそのものを守ったり。
木から落ちた梨は土を肥やしてくれるのでそのままにしてあったり。
ハチが生息できるようにお手製の小さなケージも設置されていました。
ハチは受粉をして野菜の栽培を手伝ってくれるので、とても大切な存在なのです。
(ハチと農業のつながりを考えたことは、ありますか?このつながりを知ることは、とてもおもしろいです。
また、実は現在、世界はハチの激減による危機にも瀕しています。まずは、こちらのTEDをご覧下さい。)
カナダに来てから、日本にいた時よりもはるかに多くの頻度でオーガニックという言葉に触れるようになった気がします。
というのも、日本のようにオーガニック専門店とそれ以外のお店がきっちりと分かれていないのです。
普通に町中のスーパーで、オーガニックのアーモンドと非オーガニックのアーモンドが隣同士で陳列されていたりします。
値段は野菜でも、果物でも、ナッツでも、見るたび毎度オーガニック栽培のものの方が高いのですが、
普通に隣同士で陳列されているので「オーガニックが良い人はお好きにどうぞ~」感が漂っています。
オーガニックの商品は日本もカナダも同じように「選択肢の1つ」として存在しているのですが、
こんな感じから、カナダはオーガニックの商品購入に対するハードルがはるかに低いように感じられます。
同時に、カナダの人々のオーガニックに対する関心の高さも。
日本だと、オーガニック商品はオーガニック専門店か高級スーパーで購入するイメージがありませんか?
高級でも何でもない、本当にごく普通のスーパーでも簡単にオーガニックの野菜や果物、ナッツが手に入る環境がとても印象的でした。
アメリカの Environmental Working Group (EWG) は、クリーン15とダーティー12(ダズン)というリストを作成しました。
どんなものもオーガニックを購入することが理想という前提で、
クリーン15として選ばれた15種類の野菜(アボカド、とうもろこし、パイナップルなど)は、
オーガニックでなくとも残留農薬の身体への 影響が小さいと分かった野菜です。
(硬めの皮で覆われているのが主な共通点。)
そして、対するダーティー12はオーガニックを選ぶことが特に望ましい食品です。
日本ではオーガニックというと、少しミーハー感が漂うかもしれません。
良し悪しについても、様々な見解があります。
でも、この選択肢はこれは私たちの健康そのもの、そして地球環境、生態系への配慮として非常に重要だと私は思っています。
決してミーハーではないし、他人事でもありません。
オーガニックのこと、できることから始めてみよう。
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