カナダ・ニューヨークまとめ

この記事は、2017/2/1に執筆されたものです。

 

 

12/4から1/31までNYに滞在していました。

 

欧米の食文化について知りたくて、

ビクトリア(カナダ)とニューヨークに滞在した5か月間。

本当に本当に本当に、あっという間の5か月間でした…!

 

管理栄養士養成課程で何度も耳にした

食の欧米化」という言葉に疑問を持ち、

欧米の食文化を実際にこの目で確かめたくて立てた計画。

 

全てが全て思い通りにはいかず、

というか、予想外のことだらけでしたが…

わたしなりの答えが見えてきました。

 

そもそも食の欧米化という言葉、どこで使われていたんだっけ…。

 

若年層の野菜の摂取量が、他の年齢層と比べて少ない理由を説明するとき。

 

対照的に、若年層の脂質の摂取量が他の年齢層よりも多い理由を説明するとき。

 

和食の基本である一汁三菜や、主食・主菜・副菜のバランスが取れた食事形態が崩れている理由を説明するとき。

 

肥満児の割合が増加し続けている理由を説明するとき。

 

糖尿病が強く疑われる人の数が増加したとき。

 

でも、先生は加えて、

「アメリカの栄養学はNSTを始め、日本より進んでいる」と言う。

「それって何か、食の欧米化・肥満大国アメリカって言葉と矛盾してない?!」

と感じていました。

 

実際に肥満の研究がどの国で最も進んでいるのかは分からないけれど

(単純に論文の数だけでは測定できないと思われ…)、

ビクトリア・ニューヨークに渡って印象的だったのは、

食事に関する本がとても多かったこと。

 

それも、日本でもよく見かける「〇〇ダイエット!」のような、

体重を減らすことに重点を置いたり、

極端な見出しがついたようなバラエティ番組的な(?)ものでなく、

論文や医師などの著者本人が行った研究結果に基づいて書いた、

文字やグラフびっしりの本がとても多かった。

(英語に抵抗がなければ、栄養学に関する知識は格段に

増えると実感した瞬間。)

 

 

食の欧米化

大学在学中は当たり前のように使っていた言葉だけれど、

何だかだんだん

「言い訳として都合よく使っていないだろうか」

「欧米の食文化とか現地で体験したことないから、実際のところは分からない」

「管理栄養士として、他国の食文化を一方的に批判的な姿勢で見ていいのかな」

「どんな国の食文化にも、いい点と悪い点の両方があるんじゃないかな」

そんな風に思うようになった。

 

「実際に自分の目で見て、確かめて、考察して、

自分の言葉で食に関するあらゆる情報を

人に伝えられる人になりたい」

と思うようになりました。

 

ただ、食の欧米化食の欧米化と言われながらも、

日本の平均寿命は伸び続けています。

 

それにはもちろん理由があって、主に次のように考えられています。

・乳児死亡率の低下 

・医療の進歩による延命・早期発見・早期治療

 

平均寿命が伸びた=人々が健康で長生きになった

と単純に言えるわけではなく、

感染症による死亡者数が激減したり、

医療的措置による延命などによって

日本人の平均寿命は大きく伸びました。

 

そして、平均寿命よりも注目したいのは、健康寿命

 

健康寿命とは

「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」

のことで、

端的に言うと介護などを必要とせず、

自分の意思通りに生活ができる状態のことを指します。

 

日本の健康寿命は2013年の値で男性が約71歳。

女性が約74歳。

その年の【平均寿命】がそれぞれ80歳と86歳だったのに対し、

10年以上の差が生じています。

しかもこの値は2003年の値を見ても差が縮まっていません。

 

つまり、せっかく長生きできてもその10年間は、

病気や介護によって何かしらの制限や支援を受けながら

生活をしているということです。

 

長寿国として有名な日本ですが、

それを手放しで喜べる状態には決してなく、

現状は単純に言うと10年分の医療費や介護費を

国と個人が用意しなければならないという問題を抱えています。

 

そこで、食や運動を通した予防医学の重要性が提唱されていて、

「日本人の食が乱れている」「食の欧米化」という言葉が

聞かれるようにもなりました。

 

そして、そんな食の欧米化という言葉を大きなテーマにし、

ビクトリアとNYに滞在し、

現地の食文化を実際にこの目で見て、

体験してきて見えてきたもの。

それは、

”わたしたち日本人が想像しているような欧米食は、

もはや現地では好まれない傾向がある。

ホイップクリームたっぷりのパンケーキや、

バターたっぷりのワッフルを進んで日常に取り入れて

喜んで食べているのは、日本の特徴の1つ。”

というものでした。

 

 

ビクトリアとニューヨークの一部の人たちの間では

食に関する関心がとても高い。

 

街でよく見かけたヴィーガン(菜食主義)食専門の

デリやレストラン、またはそういったポリシーを

持つ人たちのために設けられた

メニュー内にあるオプションなどが、

その食に対する関心の高さを表す1つの例だと思いました。

 

ベジタリアンやヴィーガンになる理由は本当に様々で、

必ずしも健康を意識したからではない場合も多々あるけれど、

このような食生活が受け入れられている状況は

日本と大きな差を感じたし、非常に印象的でした。

 

パスタ1つ取ってみても、全粒粉で作られたものを始め、

豆から作られたもの、野菜が練り込まれたものなど種類が豊富です。

 

 

 

 

 

日本食のそばでさえ、日本では見かけないような

黒米やわかめ、さつまいもが練りこまれたものなど

3種類のバリエーションがありました。

 

 

 

ハウス食品の商品で、マカロニの形をした豆も見かけられました。

(これも日本では見かけたことがありません。

アメリカとのニーズの違いが垣間見えました。)

 

 

 

牛乳の代替品として豆乳のみならず

麻の実のミルクまで手に入れることが出来た

ビクトリアとニューヨーク。

 

 

 

肉を使わない、ベジタリアンやヴィーガン向けの

大豆や小麦成分から作られたハンバーグや鶏むね風の肉は、

定番商品として冷凍や冷蔵コーナーに陳列されていました。

 

(ただ、この大豆などから作られた肉代替食品が本当に

健康的かどうかは、かなり疑問です。

工程を経るほどに食物繊維などの自然由来成分が減り、

同時に肉の触感や香りを再現するために

色々なものを添加するからです。)

 

 

 

(↑動物の肉と大豆成分なしで作られたミートボールの原材料表示)

 

 

こうした食品のバリエーションは、

人々の食への関心の高さを表していると思います。

 

なぜ普通のパスタではなく全粒粉や豆などを混ぜるかというと、

食物繊維の含有量を増やして血糖値の上昇を緩やかにするため。

 

普通のマカロニよりも豆腐のほうが低カロリーで、

食物繊維や良質なたんぱく質が得られる。

血糖値の急上昇も抑えられる。

 

こういう商品があるということは、

人々がこうした事実を知っているということではないでしょうか。

健康のためにひと工夫ある食品を求め、

選ぶ点は健康意識が高いと思いました。

 

日本でも人気のデリ、ディーンアンドデルーカの

ニューヨークの店舗では寿司が売られていました。

 

 

日本のディーンアンドデルーカでは、寿司は売られていません。

大きなオレオが刺さったカロリーの高そうなマフィンや

アメリカなどから輸入したクッキー、

キッシュやラザニアなど、主に甘いペストリーやスイーツ、

欧米諸国の料理のデリが売りのはずです。

 

一方で、先ほども述べたように、

ニューヨークのディーンアンドデルーカでは

入口の近くで主力商品として寿司が大々的に売られていました。

 

印象的に、ニューヨークのディーンアンドデルーカは

「ヘルシーなお店」を売りにしようとしていて、

日本のディーンアンドデルーカは

「(健康的かはさておき)ファンシー、贅沢なお店」を

売りにしようとしている印象がありました。

 

 

アメリカで人気のオーガニック食品専門スーパーの

ホールフーズのどこの店舗においても寿司を見かけ、

ある店舗ではその場でお寿司が食べられる、

寿司バーたるものが設けられていました。

 

 

さらに、ニューヨークで人気のチェルシーマーケット

群を抜いて混雑していたのは、

寿司バーも併設されたシーフードコーナーでした。

 

 

 

ニューヨークでは日本食やシーフードが好まれ、

一方日本では「〇〇の国から進出のパンケーキ/ワッフル/クレープ/

アイスクリーム/チョコレート/ピザ/ハンバーガー」と

喜んで甘いものや油っこいものが新しく取り入れられたり、

開発されたりしている。まるで食文化の交換

 

また、ホールフーズの売りの一つでもあるデリ

(好きな大きさのボックスに好きなだけサラダや

お惣菜が入れられる。価格は重量で決まります。)

では、カラフルな野菜やサラダがメニューの大半を占め、

購買者層の健康への意識の高さが伺えました。

 

 

 

このような風景から実感したのは、

いわゆる欧米食の油分・砂糖多めの食品や、

精製された小麦粉でつくられたパンやペストリーは

既にカナダやアメリカの一部の人々の間では

好まれていないという現状です。

 

欧米の食文化が日本に浸透し、

新たなものが日々入ってきていることは確かです。

 

ただ、ビクトリアとニューヨークの食においては、

日本から入ってきた寿司などの和食や、

脂身少なめの肉、魚、ベジタリアンやヴィーガン向けのものが

存在感を増すようになり、

これまで欧米食の代表格だったマクドナルドやバーガーキングは

割引戦略をとって価格重視の消費者層へアピールをし、

生き残りをかけている状況ではないでしょうか。

 

 

 

そんな状況から、日本で食べられている

パンケーキやワッフル、ピザなどを

「欧米の食文化」と一括りにし、「食の欧米化」という言葉を用いて

一方的に批判的な姿勢で見るのは、少し時代遅れな気がしました。

 

ただ、一部に人たちの間では食に対する関心が高いと感じたものの、

アメリカの学校における食育状況は良いとは言えず、

子どもたちが平等に食について学ぶ機会は

日本と比べて圧倒的に少なそうでした。

 

先ほどからいっている「一部の人たち」というのは、

ある程度食にお金をかけられる人たちのこと。

というのも、これらの食材が置いてあった

オーガニック食品専門スーパーの

ホールフーズやディーンアンドデルーカは、

価格帯が高めだからです。

 

マンハッタン以外の、ブルックリンなどにあった

小さなグロサリーストアでは、

こういった食品は見かけられなかったのも事実です。

(私が滞在していたブルックリンのフラットブッシュという地区は

黒人の人とラテン系の人が多く住み、

マンハッタンと比べると物価がかなり安い場所。

そこではパスタもパンも白いものばかりが置いてあったし、

魚は驚くほどどこにも置いてなくて

赤身の肉ばかり並んでいました。)

 

こんな風景からも、所得の差が食の質や

知識の差に関わっていることは本当だと感じました。

だからこそ、どの学校でも子どもが食育を受けられる

仕組みづくりの重要性を、

ミシェル・オバマさんは「Let’s move!」で提唱していましたね。

 

アメリカの食育状況について

アメリカ人の友人にインタビューしたところ、

ソーセージやハンバーガーなどの加工食品をランチとして

小学生の時からビュッフェスタイルの

カフェテリアで好きに選ぶことが出来たり、

ランチのメニューがジャンクフードだらけか、

サラダも置いてあるかは、学校や州次第だったりするので

状況は本当にまちまちだそうです。

(一貫してどの州においても給食の提供はゼロに近そうです。)

 

ジェイミーオリバーさんの番組によって

視聴者の間で食への関心は高まっていただろうけれど、

アメリカは州ごとの裁量が大きく、

国で一丸となって食育を行う風潮が

ミシェル・オバマさんの「Let’s move!」以前は無かったような状況。

(Let’s move!では、引き続きアメリカの学校に

サラダバーを導入する活動などを継続中。)

 

また、アメリカの離婚率の高さも、

食の質に影響を与えると考えられるのではないでしょうか。

(OECD加盟国間の離婚率のランキングによると、

アメリカは4位で日本は33位。)

 

インタビューに答えてくれた別のアメリカ人の友人は、

「両親の離婚後に母親が仕事で忙しくなり、

気付いたらすぐに用意できるようなファストフードを

食べる回数が増えていた」

と言っていました。

 

離婚は所得にも影響すると考えられ、

離婚率の高さと低所得化がアメリカの人たちの食の質に

関係しているというのも本当だと感じました。

 

 

さて、ここまでの経験から

ビクトリア・ニューヨークの滞在で得たことをまとめると、

 

・ビクトリアやNYで食において見習いたいところや

 取り入れたい商品を多々見つけ、もはや

 「欧米の食文化=悪い」「食の欧米化=悪い」と

 一括りにはできないと強く感じた。

 

・日本で好まれているような甘いスイーツや

 油っこいピザなどは既に一部の人たちの間では好まれておらず、

 こういったものを進んで取り入れているのは

 日本の特徴の1つだと感じた。

 

・日本の給食制度や、子どものころからの

 食育の重要性を改めて感じた。

 カナダやアメリカでは、日本と比較すると

 まだ食育に対する意識が薄く、家庭の料理のみが

 食事のモデルとなっていて心もとない印象を受けた。

 

・日本が目指すは健康寿命の延伸

 そのための食生活の改善として、

 欧米の食文化を追い出して和食を食べようというよりは、

 今ある欧米食の固定概念を捨てて新たに

 取り入れたいと思うものがたくさんあった。

 

といったところです。

具体的に、わたしが日本や世界における

食を通した健康づくりのためにできることは何だろう?

引き続き考えて、見つけていこうとおもいます。

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ABOUT US

管理栄養士の養成課程を卒業後、大学院に進学。 そこで約半年間休学し、カナダ、ニューヨーク、カンボジアで食に関連したインターンシップに従事した。 ブログでは食、健康、大好きな旅に関する情報を発信する。 詳しくは「ミチについて」にて。 連絡は「ミチに連絡する」からメッセージを送っていただけます。